高校生活動(三重県) Activity
2018年05月18日 大会へ向けての準備
手づくり記念品 伊賀くみひもミサンガ
インターハイでは、高校生活動の取組の一つとして、選手・監督等に、高校生の発案・制作による、開催地ならではの要素を盛り込んだ手作り記念品をお渡しすることが慣例となっています。
三重県における手作り記念品について、高校生活動推進委員会で意見交換を行い「伊賀くみひもを使ったミサンガ」を製作することが決まりました。
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伊賀くみひもの秘密
このミサンガは三重県の伝統工芸品「伊賀くみひも」で作られています。伊賀くみひもはいくつもの絹糸を組み上げて作られており、とても頑丈で、切れることはありません。 ミサンガの中央部分の結び目を見てください。 | |
これは、表面からは「口」、裏面からは「十」の形に見えることから「叶結び」(かのうむすび)と呼ばれている結び目です。
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ミサンガは通常「切れる」ことにより願いが叶うと言われていますが、私たちは、伊賀くみひもに叶結びをほどこすことにより、切れなくても願いが「叶う」ミサンガを作りました選手の皆さん一人ひとりの願いが叶うようにとの、私たちの想いが込められています。 |
伊賀くみひもとは
伊賀組みひもとは伊賀くみひもとは、三重県伊賀市の伝統工芸品であり、昔から着物の帯紐や飾り紐などに使われてきました。絹糸を主とし、金銀糸などを組糸に使って角台や丸台、高台や綾竹台といった伝統的な組台で絹糸の光沢を生かし、1本1本丁寧に仕上げられます。昔ながらの職人の技を活かし、伝統の「美」を求め続けるものが「くみひも」のです。
伊賀くみひもの歴史伊賀くみひもの起源は古く、奈良時代以前に遡るとされ、仏具や神具、武士の甲冑や刀の紐などに使用されてきました。伊賀の地域産業としての本格的な発展は明治中期頃で、昭和51年ごろには通産大臣が定める国の伝統工芸品に指定されています。 現在においてはその繊細なつくりと優雅な色合いで多くの人々を魅了し、着物だけでなく色々な分野で愛され続けています。
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なぜインターハイの記念品に選ばれたのか
伊賀くみひもがインターハイの手作り記念品に選ばれた理由の1つは,三重県の代表的な伝統工芸品だからです。伊賀くみひも以外にも三重には素晴らしい伝統工芸品が沢山ありますが、色合いや材質、身につけてもらえるかといった観点から検討し、伊賀くみひもに決定されました。今回の手作り記念品である「伊賀くみひものミサンガ」は切れたら願いが叶うという一般的なミサンガとは違い、「叶結び」と呼ばれる伝統的な結び目を採用する事によって「切れなくても願いが叶う」という特別なものに仕上がっています。 |
組みひもの色の意味
くみひもの色は「緑」「赤」「白」「橙」の4色を選びました。 緑をベースに2色の組み合わせで3種類のミサンガを作ります。 色はそれぞれ三重の特産物や名所に関連し、インターハイに出場する選手達に「全力でプレーしてほしい」という想いを込めた色となっています。
緑
緑色には「健康」という意味があります。この東海地域及び和歌山県で開催されるインターハイのために遠くからお越しになる選手の健康を祈るという思いを込めるとともに、三重県の豊かな自然を表現するため、3種類のミサンガすべてに共通するベース色とし、 緑色の名産品には伊勢神宮の神宮杉や伊勢地域で栽培されている伊勢茶、三重県の名産品であるあおさなどがあります。 |
赤
赤色には「情熱」「勇気」という意味があります。インターハイに出場する選手の方々に情熱と勇気を持って試合に望んでほしいという気持ちを込めました。 赤色の特産品には伊勢海老、松阪牛、伊賀牛などの牛肉、伊賀焼や万古焼などがあります。 |
白
白色には「平常心」という意味があり、インターハイという大舞台でも緊張したりせず、落ち着きをもって試合に望んでほしいという気持ちを込めました。 白色の特産品には三重県の代表的な特産品である真珠や伊賀地方で栽培され、高い評価を得ている伊賀米、全国的に有名なカメヤマローソクのろうそくなどがあります。 |
橙
橙色には「希望」「力強さ」という意味があり、インターハイの試合においてどのような状況になってしまっても希望を失わず力強いプレーをして欲しいという想いを込めました。 橙色の名産品には伊勢市の名産である蓮台寺柿や三重県全域で作られている蜜柑、名所には夫婦岩の日の出などがあります。 |
模様の理由
組み方の種類とその組み方にした理由
日本の伝統工芸品である伊賀くみひもには、多くの組み方が存在します。組紐を組むためには組台を用いますが、この組台にも種類があり、それぞれ組むことのできる組み方、それによって現れる模様も異なります。
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今回手作り記念品に使用するくみひもには、多くの模様の中から「たてわけ」と呼ばれる模様が現れる組み方を選びました。この組み方は真直に通った模様が特徴で、「選手の皆様には何があっても決して諦めず、この模様のように真っ直ぐ突き進んで欲しい」という想いが込められています。
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叶結びについて
組み方同様、結び目もくみひもの長い歴史の中で多くのものが生まれました。このミサンガにはその中から「叶結び」と呼ばれる結び目を選びました。「叶結び」は表から見ると「口」裏から見ると「十」の形を表し、表裏合わせて「叶」という文字になることから、「願いを叶える」という意味を持つ結び目となっています。この結び目を選ぶことにより、今回のインターハイの手作り記念品である「切れなくても願いを叶えるミサンガ」は誕生しました。
つゆ結び、とめ結びについて
この二つの結び目もくみひもの伝統的な結び目です。
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「つゆ結び」は輪を作る事が出来る結び目で、結び方によっては紐を連続して結ぶ事により、飾り紐をつくる事も可能です。 |
「とめ結び」はその起源がとても古く、一説によれば世界最古の結び目ともされています。今回このふたつの結び目はミサンガの「留め具」代わりとして用いています。 |
製作風景
どのように制作するのか
ミサンガには1本につき65cmのくみひもが使用されており、製作した19,500本のミサンガをつなげると1万2000メートルという長さになります。この膨大な量の伊賀くみひもは三重県内のくみひも職人の方々にご協力頂き製作され、平成30年の年明けごろに三重県内の68校に配布されました。配布された伊賀くみひもは、一本一本生徒の手によって丁寧に結び目を施し、ミサンガに仕上げました。また、インターハイで選手の皆様に精一杯頑張ってほしいという気持ちを伝えるために、伊賀くみひものミサンガが入った台紙には各校生徒の手書きメッセージカードを添えました。
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制作にあたり苦労(工夫)したこと
この伊賀くみひものミサンガを制作するにあたり、一番の難点は「各校の高校生にいかにして叶結びという複雑な結び目の結び方を理解して製作してもらうか」でした。一番分かりやすいのは直接会って指導をすることですが、高校生活動県推進委員会のメンバーは15名が県内の68校に出向いて説明することは不可能でした。そこで、各校に伊賀くみひもとともに、制作方法をわかりやすく説明したマニュアルと製作の様子を映した映像を送りました。この方法は成功し、県内の68校すべてが失敗することなく伊賀くみひものミサンガを作る事ができました。
松阪高校での製作風景 |
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名張高校での製作風景 |
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鈴鹿高校での製作風景 |